沖縄、深まる本土との溝

 毎日新聞に注目すべき記事が載っていた。「本土と沖縄 内なる歴史問題」と題するコラムである。沖縄については以前から小生も同様の思いを抱いている。未読の方にぜひ、ご一読願いたい。少々長いが、全文転載する。タイトルの「沖縄、深まる本土との溝」は当方で独自につけた。


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に移動した海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、地域住民の不安をよそに訓練飛行を続けている。

 配備されてしまえば反発はいずれ収まると政府はタカをくくっているかもしれないが、逆ではないか。配備反対の声を無視された沖縄では日本という国そのものへの不信が広がりつつある。その怒りの意味を認識しなければ、本土と沖縄の溝はこの先もっと深まるだろう。

 ついに配備が始まりそうだという先月末、地元紙・琉球新報の社説は「沖縄は植民地ではない」と見出しに掲げた。沖縄では「配備の日程を変えず強行したのは沖縄に無力感や諦念を与える狙いがある。植民地統治の基本みたいなものではないか」との見方もあるという。

 同じころ、那覇市で開かれたマスコミ倫理懇談会全国協議会の全国大会で講演した87歳の大田昌秀元沖縄県知事は「あの戦争で沖縄は本土を守るための捨て石にされた。沖縄は他人の目的を達成する道具だった。モノ扱いがこれ以上続くなら独立論も出てくる」と訴えた。

 かつて独立王国だった琉球を強制廃止し近代日本に編入した明治の琉球処分、10万人近い民間人死者を出した太平洋戦争末期の地上戦、沖縄を本土から切り離した戦後のサンフランシスコ体制、米軍基地を集中させる結果になった72年の本土復帰。誇りを傷つけられ、多くの血の犠牲を払いながらも、本土の安全のため負担を引き受けてきた歴史のうずきが今、沖縄の人々の心を揺さぶっている。

 本土に住む私たちは植民地や独立という言葉に驚く。ただ、そこまで強く言わなければ本土にはわからない、との思いがあるのだろう。鳩山由紀夫元首相の「普天間県外・国外移設」発言と挫折で噴き出した沖縄のアイデンティティーの主張は、もはや不可逆的な流れだ。

 問われているのはオスプレイ配備の是非ではなく、沖縄の歴史と現実にどう向き合うかということである。日本と中国、韓国の間には歴史認識問題があるが、本土側の琉球・沖縄史への理解もまだまだ足りない。沖縄の重い負担を減らすためにも、この「内なる歴史問題」をなくしていくことが必要だ。

 オスプレイは抑止力を向上させ日米同盟を強化する、という論がある。軍事的にはそうだろう。だが同盟を本当に強くするのは普通の人々が相手に抱く信頼感、つまり草の根の同盟意識である。強引なオスプレイ配備はそれを損ない、同盟をむしろ弱体化させはしないか。

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