お調子者だが憎めない男

▼宿敵巨人を倒し号泣
 野球界のスーパースターの逮捕にショックを隠せないファンが多い。清原の薬物疑惑は前々から巷間で噂になっていた。背中に入れ墨を入れて粋がっていた。「番長」と呼ばれてニッコリした。

 お調子者だが憎めない面があった。彼は決して世渡り上手な男ではなかった。周りに親身になって忠告する先輩や親友はいなかったのか?バカなことをしてくれた。野球界の逸材だった。残念としか言いようがない。

 「清原」で私が一番印象に残っているのは1987年11月1日に西武と巨人が戦った日本シリーズのあの場面だ。西武が巨人を破り、2年連続4度目の日本一に輝いた。清原は宿敵巨人を倒し、号泣した。

 当時、テレビを見ていた私も涙が滲んだ。その瞬間を「日刊スポーツ」の福田豊が健筆をふるって綴っているので以下に転載する。

****************

 清原は泣いていた。9回表、最後の守り。吉村の遊ゴロをさばいた清家からの送球を受けた清原の号泣する姿を見て、二塁から先輩の辻がビックリしてスッ飛んできた。

 「オイ、しっかり目をあけんかい!」。辻に両肩をたたかれてハッパをかけられても、あふれ出る涙を止めることができなかった。その姿に胸を打たれた伊東、秋山がもらい泣きした。ベンチではクールでなる東尾までが涙を流した。

 清原は涙でかすんだ目で、ウイニングボールを秋山がキャッチするのを見届けると、「ウオー」と嗚咽を漏らしながらマウンド上の歓喜の胴上げに加わっていた。

  「自然にこみあげてきたんです。9回表、最後の守りについた時、足がガタガタ震えてきて、涙が出てきました」。昨年の日本シリーズ、19歳の4番として出場し、広島を破って日本一を達成した時も涙は出なかった。

 しかし、今年は泣いた。プロのユニホームを着てから流す初めての感涙。涙の理由はただ一つ。巨人を破ったからだ。「巨人を倒すことが、僕がプロに入った一つの目標でしたから。それを達成できて、すごくうれしい!」。

 60年11月20日ドラフトで「指名確実」といわれた巨人が自分を指名せず、よりによってPL学園の同僚の桑田を指名。悔し涙にくれた。

 そして西武に入団。「王さんに”あの時(ドラフトで)清原をとっておけばよかった”と言わせたい」。その一念が清原の支えだった。そのドラフトから712日目、清原の夢がかなった。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック