また一つ町の本屋さんが消えた

▼加速する活字離れ
 読書の秋となったが、私の住む町の駅前書店が今月12日をもって閉店した。加速する活字離れと書店の大型化で町の本屋さんが危機に陥っている。若者は本どころか、新聞も読まない者が増えている。ちょっと心配だ。

 全国の書店の数は1999年に22,296 店だったのが、2014年には13,943 店にまで激減した。スマホやタブレットで読む電子書籍もあるが、そんなのはごくわずかだ。

 通勤通学の電車の中で本を読んでいる人はめったに見かけない。どの車両も申し合わせたかのように一斉にスマホをいじくっている。私の学生時代は、学生なら文庫本の1冊や2冊ポケットに忍ばせているのが常識だった。ラッシュ時の電車内でも新聞や雑誌、単行本に目を通す人が目立った。

▼読書は脳の活性化につながる
 東北大学の川島隆太教授によると、読書は脳全体を刺激するため、痴呆や脳の老化防止に効果があるそうだ。中でも「前頭前野」と呼ばれる部分は、人間の思考や言語、記憶力や感情をつかさどる“脳の司令塔”。そこが刺激をうけることで脳全体の活性化につながり、「記憶力や判断力」が養われるという。

 言われてみると思い当たる節がある。別のことを考えながら、うわの空でページをめくっても、何が書いてあるか理解できない。活字に集中しないと内容が頭に入らない。気付かないうちに脳を使っているのだ。

▼テレビっ子は注意力が劣る
 川島は一方的に垂れ流すテレビの弊害について語った。「テレビは視覚と聴覚しか使わない。テレビっ子は注意力、語る力が低下、脳の発達を阻害している」と警告。おとなでも長時間の視聴は、「うつ状態および認知機能低下の危険要因を生む」と強調する。

 次はスマホ。「子供の目を見ないで、スマホを見ながら授乳する母親で育った子供をサイレントベイビーと呼ぶ。そういう子供は他人の気持ちを理解する能力が乏しい」と川島。そんな子が、やがて成長して社会に出れば、社会性に欠け、自己中心の人間となる可能性が強いという。

▼便利で、楽で簡単は最悪
 今は便利な世の中で、分からない言葉は電子辞書でアッという間に解決。子供のお絵かきにしても、絵の具を使うよりタブレットでお絵描きするほうが簡単に出来る。だが、簡単なやり方を先に覚えると、子供はわざわざ大変な方をやろうとしなくなる。

 便利で、楽で簡単な方法が生活習慣となる。その結果、本人が気付かないうちに思考力の低下、言語能力の減退となって現れるというのだ。

▼言葉を知らない最近の若者
 確かに若者の語彙は貧弱になっている。「言った」という言葉一つでも、「語った」「述べた」「主張した」「強調した」「訴えた」「力説した」「断言した」などと、場面によって表現を変えることが可能だが、何でもかんでも「言った」の一本調子で通すような傾向がある。言葉を知らない若者が多い。

 読書によって言葉を覚え、表現力が養われる。語彙が少ないと、自分の言いたいことがノドまで出かかっているのだが上手く表現できず、イライラして、しまいには切れる。これではまともな社会生活は送れない。

▼本を読まない代表が安倍晋三
 作家の保阪正康は、安倍晋三首相の言動には「本を読まない人の特徴がよく表れている」と言っていたが、その通りだ。

 灯火親しむ候となったこの季節に、虫の音を聞きながらページをめくるのも一興かと・・・。
「白玉の歯にしみとおる秋の夜(よ)の  酒は静かに飲むべかりけり」 (若山牧水)。
どうです、一杯やりながら。

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