高倉健が帰って来た

▼大きな画面と響き
 「もう一度、高倉健をスクリーンで観たい」とのリクエストに応えて、劇場での上映が決まった。このところ毎日のようにテレビで高倉健追悼番組が放映されている。しかし、映画はやはりカネを払って映画館で観るのが一番だ。

 大きなスクリーン。サウンドトラックの響きー。感じる度合いが違う。レンタル屋でDVDを借りて家で観たら安くつくが、迫力が違う。この機会を逃すと、おそらく高倉映画を劇場で二度と観る機会はないだろう。ご覧いただきたい。

 高倉健追悼上映会は12月6日からで東京・丸の内TOEIのほか、大阪・梅田ブルク7、京都・T・ジョイ京都、福岡・T・ジョイ博多でも実施する。料金は1000円。午前10時半から上映(12月6日のみ午前11時)。

 追悼上映会のスケジュールはつぎの通り。
▽12月6~12日「網走番外地」
▽12月13~19日「新網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義」
▽12月20~26日「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」
▽12月27日~2015年1月2日「冬の華」
▽15年1月3~9日「動乱」
▽15年1月10日~同月下旬「鉄道員」 

▼心のひだを見事に表現
 中でもぜひ観て欲しいには「冬の華」。これは単なるヤクザ映画ではない。高倉が誠にいい味を出している。心のひだを見事に表現している。印象に残ったのはラストシーン。カメラワークが見事だ。フランス映画と見紛うほどである。

 沈む赤い夕日を背景に、幼子が父の死を知らず浜辺を駆ける。右手の風車が風にカラカラ音をたてて回る。一転、画面がロングに切り替わる。浜辺を打つさざ波の音。夕陽を背にした幼子が影絵のようだ。

▼「冬の華」は秀逸の作品
 高倉健が主演した映画は205本を数えるが、その中でも「冬の華」は秀逸の作品だと私は思う。間違いなく日本の映画史に名を残す映画だと自負している。この機会に是非観て欲しい。 

 物語はこうである。
「加納秀次は組織を裏切り、関西に寝返った兄弟分の松岡を刺殺する。松岡には3歳になる一人娘、洋子がいる。加納は洋子を弟分の南に託して服役する。殺した相手の娘を気にかけ服役中、“ブラジルにいる伯父”と偽って洋子と文通を続ける。やがて15年の刑期を終え出所。加納は堅気になろうと心に決めていた。が・・・」。

▼素晴らしい出来栄え
 キャストは、加納秀次に高倉健。大きくなった洋子を池上季実子。松岡役に池辺良、南幸吉には田中邦衛ら、芸達者がわきを固める。監督は「ホタル」「鉄道員(ぽっぽや)」など数多くの作品で高倉健とコンビを組んだ降旗康男。

 脚本は不朽の名作「北の国から」を手掛け、「駅 STATION」で高倉健を主役に起用した倉本聰。音楽担当はクロード・チアリ。彼が演奏するギターの音色が実にいい。バックミュージックが映画を一層盛り上げる。とにかく素晴らしい出来栄えだ。私は、あの感動を味わうためにもう一度、観に行く。

この記事へのコメント

本物のヤクザ映画
2014年11月25日 22:42
東映の高倉健は鶴田浩二とともに、ヤクザ映画の看板スターだった。日活も石原裕次郎や小林旭の路線は地元を支配するヤクザをたたく映画であった。しかしこの時点でのヤクザ映画はまだ荒唐無稽なつくりものであった。
そこに飯星晃一の「仁義なき戦い」を東映の深作欣二監督が映画化、山口組の全国制覇への戦いと迎え撃つ広島ヤクザの実録路線が大ヒット、以後ヤクザ映画は実録路線へと転換した。ここに高倉健、鶴田浩二に続く菅原文太というスターが誕生した。以前のヤクザ映画は力道山のプロレスと同じでやられてやられて最後に殴り込むというワンパターン、しかし仁義なき戦い以降は実録だけに迫力が違った。この流れは現在も東映のVシネマに脈々と受け継がれている。

この記事へのトラックバック