東電に「配慮」のメディア

▼平気で見え透いたウソ
 東電の清水正孝が社長の座から降りた。放射能流出が続き、収束の見通しさえつかない中での退任は納得がいかない。敵前逃亡。責任逃れではないか。ところが、テレビや新聞は、退任会見を淡々と伝えるだけ。どうした?(敬称略)

 いまだに釈然としないことがある。既成メディアの清水への対応である。彼は原発が大災害を起こし、計画停電だと大変な騒ぎになっている最中に突然、姿を消した人物だ。東電関係者は当時、「連絡がつかない」と言うだけ。重大事に最高責任者と連絡がつかない組織などあり得ない。見え透いたウソを平気でつく。

▼持ち場放棄し姿消す
 放射能を拡散させ、世界中を震撼させた企業の社長なら、先頭に立って陣頭指揮に当たるのが筋ではないか。それが持ち場を放棄して行方をくらますとは・・・。いかなる理由があっても過誤できない。

 ふだんなら新聞、テレビは先を争って「雲隠れ社長」の行方を追及。無責任な姿勢を徹底的に糾弾するはずだ。ところが、今回はなぜか、「雲隠れ社長」を問いただす記事や番組は見当たらない。唯一、報道した米紙の転載でお茶を濁している。

 「経営者が雲隠れ」の見出しを掲げたワシントン・ポストは、社長としての清水の行動を厳しく批判。「問題が起きた時、連絡が取れなくなるのは、日本の経営者や政治家によくあること」と、常套手段を酷評。トップの逃げの姿勢を非難した。

▼メディア、東電に「配慮」?
 いつになく“おとなしい”国内メディアの反応に、東電への「配慮」を挙げる声が多い。東電の年間の広報・宣伝関係経費はざっと700億円。広告費のほか、販売促進費、普及啓発費などに分散して計上されている。

 3・11原発震災が起きるまで東電は、「報道ステーション」や「報道特集」、「真相報道バンキシャ!」など、ほとんどの報道番組のスポンサーに名を連ねていたというから驚く。他の電力各社や事業団体の電事連(電気事業連合会)を合わせると、広報費は年間約2000億円といわれている。

▼御用メディアが質問遮る
 テレビ、新聞にとって東電をはじめとした電力会社は、長年にわたる大スポンサー。そんなところから今回も「配慮」が働いている、との疑念が沸騰している。菅内閣については手厳しく批判するメディアが、東電に対しては、発表を淡々と報じているだけで、不思議なほど口数が少ない。

 放射能の測定値や2カ月遅れの炉心溶解の公表、津波写真など東電の「後出し」続きにも、大手メディアからの苦情は聞こえてこない。いつもの記者会見とはどこか様子が違う。なぜ、そこまで萎縮するのか。「報道の自由」はどこに行った?情けない。

 フリーランサーが東電に鋭い質問を浴びせると、「そんな質問やめろ」との声が飛んだ。元総務相の原口一博も「一部の御用メディアの方々が、大切な質問を遮ると友人。海外の友人からも同じ趣旨のメールが(届いた)」と、ツイッタ―で語っている。

▼ACの会長は、あの清水
 少なくとも「報道」を冠に頂く者は、切っ先鋭く切り込んでもらいたい。間違っても、取材相手によって濃淡を付けるようなことがあってはならない。自殺行為に他ならないからである。そんなことをしていたら、人々はますます既成メディアから遠のくであろう。

 ちなみに、震災後に朝から晩まで繰り返しAC(日本広報学会)のCMが流れたが、ACの会長は、あの清水正孝である。

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