今、求めているのは司令塔

▼爆心地の写真と二重写し
 大震災、大津波、そこに原発事故が重なってわが国は、これまで経験したことがない危機に直面している。今は国が一丸となって国難に立ち向かわねばと考え、言いたいこともすべて飲み込んでいたが、がまんも限界。愚かな首相、菅には愛想が尽きた。  (敬称略)

 津波にすべてを押し流されたテレビ映像を見ていると、長崎の原爆資料館で見た爆心地の写真と二重写しになって見える。数個の鉄筋の建物が点在するだけで何もない。全部、さらわれていった。被災地は焼け野原と化した。つらくて正視しておれない。

▼折れそうな心に鞭打って
 菅は10日、被災地宮城を視察に訪れる。この時期の視察は手順が違うのではないか。震災から1カ月近くが経過するというのに、いまだに電気、ガス、水道がストップしたままの被災地が少なくない。

 朝晩の食事も事欠く中で、厳しい体育館暮らしが続く。着替えの下着がない。赤ちゃんの紙おむつがほしい・・・。入浴もままならない状態で、被災者の皆さんは必死で耐えている。折れそうな心に鞭打って我慢している。

▼片寄る全国から救援物資
 仮設住宅の建設も急がねばならない。だが、ベニヤ板や断熱材、骨組みの鉄骨などの資材が集まらない。被災者に1日でも早く入居させたいと現場でがんばっている作業員らは気を揉む。こうした事態を一刻も早く解決することが首相の仕事ではないか。

 全国から救援物資が届けられるが、受け入れ先の市町村の機能が崩壊しているため、仕分けもままならないと聞く。物品の片寄りも多く、ある避難所には同じ品が余るほど送られるが、他では全く届かない場所があるという。

 こうした点は、被災を免れた近隣自治体からの動員など中央政府が迅速にカバー、指揮すれば即座に解決する問題である。岩手県は大阪、宮城県は愛知と福岡、福島県は東京というように、あらかじめ支援する自治体を決めるのも一法だ。
 

▼求めているのは司令塔
 菅は震災翌日の空からの原発視察に続いて今月2日、自衛隊、機動隊、米軍などが総がかりで、行方不明者の集中捜索に当たっている最中に岩手を視察した。首相の視察となると、厳重な警備態勢が必要で、地元警察に「余計な負担を強いただけ」と厳しい批判を受けた。

 今、国民が求めているのはパフォーマンスではなく、未曾有の国難と正面から対峙する「司令塔」である。菅は「現状を理解しているのか」、と疑いたくなる。国を預かる最高責任者は首相である。その首相がパフォーマンスに走ってどうする。

▼「責任はすべて私が取る」
 こんなときこそ首相は官邸に陣取り、「司令塔」としての役割を果たすべきだ。閣僚や官僚に責任を持たせ、最後に重要な決断を下すのが首相たる者の果たす役割ではないか。

 阪神大震災(1995年)時の首相、村山富市は官僚の信頼が厚いといわれた衆院議員の小里貞利を災害担当相に起用した。私心を持たない村山は「責任はすべて私が取る」といって小里に全権を与えた。この結果、地震発生当初、ギクシャクしていた官邸と霞が関、兵庫県は一体となって危機に立ち向かった、という。

▼まずは被災者に「安心」を
 菅が今、行うべきは速やかに食料や医薬品を被災者の手元に届け、彼らに「安心を保障」することである。その上で、思い切った復興計画を立ち上げる。そのためには莫大な予算措置が必要となる。財源をどうするか。復興税は実施するのかしないのか。

 さらには、原発事故に伴う誤った情報により、日本からの輸出にさまざまの支障が出ている。汚染の疑いあり、のひと言で相手国から受け取り拒否を通告される。これらの問題に政府として毅然とした対応、正確な情報発信を即刻、行うべきだ。

 繰り返す。菅サンよ、視察より先にやることが、山積していることを忘れては困る。しっかり、現実を見据えて行動しろ、と言いたい。








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