落語はすごい、深い(落語12)

▼見返り柳と文七元結
 「発見と出会い(落語11)」のブログを見てくださった方から、次のようなコメントが寄せられた。「見返り柳は円生さんの『文七元結』に出てきますね。吉原という遊里の華やかさが、浮かび出てくるすばらしい語り口で、思わずうなってしまいます。そうですか、あるのですか。私も一度見てみようと思います」。

 この方は落語にとても詳しく、いつもブログ「落語の学校」を見ていただいているようです。たびたび貴重なコメントを頂戴し、感謝しております。まだ、一度もお声も、お名前もうかがっておりませんが、よろしければ連絡先の電話番号をお知らせください。

▼「ぶんしち もっとい」
 ところで、落語初心者の私は、恥ずかしながら「文七元結」を知らなかった。「ぶんしち もっとい」と読むそうで、早速、調べてみた。
 
 あらすじは、こんな具合だ。
 長屋の住人、左官の長兵衛は博打がこうじて借金まみれとなり、女房と大喧嘩の毎日が続く。見かねた娘のお久(17歳)が吉原に駆け込む。わけを聞いた遊郭の女将が長兵衛に50両の金を貸し渡す。
 
 その間、お久を預かり、手元に置いてひと通りの事は習わすが、返済期限の来年の大晦日を1日でも過ぎると、店に出してお久に客をとらせる、と迫り、長兵衛に博打とキッパリ縁を切り、仕事に精を出すよう促す。

▼あとは落語でお楽しみ
 ところが、この後予想もしないハプニングが長兵衛を待ち受けていた、という内容である。すべて綴ってしまうと、聴く落語が面白くなくなるので、説明はここまで。

 話を元に戻そう。落語は続く。
 「長兵衛は五十両の金をしっかりと、吉原を後にした。大門をそこそこに、見返り柳を後ろに見て、土手の道哲(どうてつ)右に見る。待乳山(まつちやま)から聖天(しょうでん)町、山の宿から花川戸、左へ曲がると吾妻(あづま)橋・・・」

▼「土手の道哲」って何?
 ここでつまずいた。「土手の道哲」が何のことか分からない。改めて調べてみたところ、「土手の道哲」とは、道哲が開基した西方寺のことだという。

 「文七元結」は稀代の名人、三遊亭圓朝の創作。人情噺の代表作といわれ、六代目三遊亭圓生、五代目古今亭志ん生、林家彦六、古今亭志ん朝ら一流といわれる噺家が演じた名作である。すべて演じると実に、1時間半は要する大作だけに、誰もが演じられる、というわけにはいかないシロモノだ。

▼落語はすごい、深い
 落語は耳で聴いたことを、右から左に話すだけでは味気ない。やはり言葉の意味を理解し、時代の背景を探ることで味わいが増してくる。同じ演目でも噺家によって味が異なる。都都逸の一つも入ることで季節や、その場に合った雰囲気が一層、深まり、臨場感が出る。

 噺家が川柳や小唄、日本舞踊など芸事に励むというが、こうした日ごろの精進が、噺に粋や艶を含ませるのだろう。落語はすごい。深い。ますます落語が好きになった。

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この記事へのコメント

大下もとこ
2019年10月30日 11:31
文七も魅力ある噺ですが、娘を持つ身にとって心苦しい場面がある
200枚ものCD・DVDを持ち、人生の夕暮れに彩を加えてくれた
友に勧めても、「男の落語」を理解出来ぬ
「5人廻し」「真田小僧」は、聞き過ぎてCDがツルンツルンに相成り
買い足してます。

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